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① 大黒柱と野物(ノモン)と梁の差し合せです。この大黒柱には合計4本の梁や野物(ノモン)が差さります。この状態で計5本の呼び栓が打ち込んであります。ホソを割り付け両方から差さって来る梁は柱に寄ってくるように栓穴が掘られています。この呼び栓を打ち込むとギュっ!ギュっ!と柱に寄ってきてビッタリと付いて食い込んできます。昔の人は木材しかない時代に木材だけで強度を出すために考えられた技法です。
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② 大黒柱と野物と梁の差し合せです。梁を一直線に差し合せするときは柱を横に倒した状態で差し合せします。
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③ 大黒柱と梁の差し合せです。直角方向に差す時は柱を逆さまにして差し合せます。一番チカラのかかる柱なので複雑な加工を施してヒネリや垂直荷重、引張強度に対応します。
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④ 大黒柱が逆さまに建てられていますが、差し合せするのに安全で差し合せしやすい方法で差し合せを行います。これも昔から受け継がれて来た大工さんの知恵ですね。
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⑤ この技法は両方からホソが差さりお互いに引き合うように造られています。引き付けるための木栓はこの仕口だけで6本打って固めます。
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⑥ 柱やホソが弱らないように梁が差さる高さを計算し、微妙に高さを変えて差しています。
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⑦ 屋根裏の小屋組に使う2重梁です。まず皮を剥かないと墨が付けられません。親父と並んで競争するつもりはなくても負けず嫌いの2人。結局競争して俺の方が早いとか仕事が綺麗とか競い合います。
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⑧ 2重梁の墨付けの様子です。私が墨付けするようになってほとんど墨を付けることはなくなったのですが、たまには墨付けしたいみたいで無言でやり始めます(笑)
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⑨ 化粧梁のカンナがけです。梁も手ガンナかけれるところはカンナをかけます。
手ガンナと電気カンナの切れ味は全然ちがうんですよ。やっぱり昔ながらの手ガンナの仕上がりはツルツルで艶もすごい出ます。
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⑩ 小屋梁の化粧部分の手がんなかけの様子です。弟子君もカンナかけを収得すべく、一生懸命です。カンナなど手道具が使えないと一人前の職人とはいえません。
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⑪ 大黒柱に差さるホソ先です。上棟の日にち、お施主様の名前、工務店の屋号、代表の名前、棟梁の名前、携わった大工さんの名前を書き込みます。これは初代の代表から受け継いだもので、後世になって自分が建てた家が素晴らしいものであれば、必ず永く残るし、その家を解体するのではなく、解いてもらえるような家でないと名前は刻めないと。なぜなら、大黒柱は最後まで残ってないと家は解けないから。最後まで解いた時に、初めて上棟の年月日、お施主様の名前、工務店の屋号などが現れます。それが何十年後か何百年後かわかりませんが、なんか夢があると思いませんか?私も代表から名前を刻む理由を聞くまでは何か恥ずかしいというかおこがましいというか名前を刻んでいなかったのですが意味を理解してからは大黒柱のある家はすべて名前を刻んでいます。
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⑫ 大黒柱に計4本のホソが差さるのでホソ先に棟上げの日にち、お施主様の名前などの他に御祝いの言葉を書きます。祝 上棟や○○家御繁栄願いなど書き込みます。やはり自分が丹精込めて建てた家に長く住みその家族(家系)が栄えてほしいと思い願いを込めて書いています。
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⑬ 複雑な仕口のホソ先の差し合せも終わりカンナがけも終わりあとは棟上げを待つばかりです。
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⑭ ホソ先や襟輪(エリワ)などの仕口は同じ形状のものはありません。簡単な造りにすればと思われる方もいるかもしれませんが、強度を出すためにはこの造りが本物なんです。
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⑮ 小屋梁の刻み完了の様子です。この家にはこういった木材の自然の形を活かした梁を15本使っています。この梁をしっかり組むことで木のみで強度を出します。
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⑯ 柱に梁のホソが差さる部分の仕口です。一番左側が大黒柱です。4本のうち一番太く複雑な加工がしてあります。100年以上立派に建っててくれよ。
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⑰ 桧の化粧柱のカンナ掛けの様子です。手前にカンナが置いてありますが、荒カンナ、中引(ちゅうひこ)、仕上げと複数のカンナを使い柱をツルツル、ピカピカに仕上げます
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⑱ ここでも二人並んで無言で競い合いながらカンナをかけます。化粧柱のカンナ掛けが終わるといよいよ棟上げです。
お客様のご要望
平屋でお洒落な家を造りたい。外観は、打ち合わせを密に行い自分の(お施主様)イメージ通りに造ってほしい。内部は曲がり梁を組み化粧梁(梁見せ)として見せてほしい。子供が小さいのでなるべく自然素材を使って造ってほしい。
提案ポイント
【受注のキッカケ】
お施主様の旦那様が私と従兄弟ということもあり、全面的に信頼して頂き受注を頂きました。すべて奥様が計画からイメージ、デザイン、色決めなどをテキパキとやって頂きました。なかなかのセンスの持ち主でした。旦那様は地鎮祭と棟上げの時に現場に来た位で趣味の野球に明け暮れ、ほとんど奥様と私で打ち合わせをやりました(笑)
【施工のポイント】
最近の家には少なくなった大黒柱を採用し、しっかり組んだ木組みに屋根瓦の荷重を掛けることで(安定感を出し)地震時の揺れにも耐え、木組みの特性を活かし適度に揺れることで(木組みが緩いと接合部は破壊されます。)接合部の破壊を防ぎ、揺れが止まった時にはもとに戻る力が働きます。なぜわざわざ重たい瓦を葺くのかというと最近台風の巨大化、竜巻など風害は地震より遥かに高い確率で発生しています。軽い屋根が良いとされていますが、風害には耐えれません。だから私はしっかり組んだ木組みは古代から地震、台風に耐えてきた実績を信じ伝統工法木組みの家を実践しています。実際に数年前の西方沖地震で宗像もかなりの家の瓦などが被害にあってましたが、白木建設が建てた家は一軒も被害はありませんでした。昔も今もしっかり組んだ木組みの家は強いということです。
お客さまの声
細かい所まで打ち合わせをして使い勝手、家事動線、デザインなど本当に思い通りの家が出来ました。
施工概要
- 所在地
- 宗像市
- 構造・工法
- 在来木造軸組(木造在来)